スポンサーサイト

  • 2018.02.15 Thursday

一定期間更新がないため広告を表示しています

  • 0
    • -
    • -
    • -

    狂うひとー「死の棘」の妻・島尾ミホ 2

    • 2016.12.03 Saturday
    • 23:28

    JUGEMテーマ:読書


    狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ
    狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ梯 久美子 新潮社 2016-10-31売り上げランキング : 1050Amazonで詳しく見る by G-Tools



    終戦後、島を出て結婚しようとした二人だったが
    仕事をしないで両親に頼る気しかない島尾は結婚を認めてもらえない。
    当時の価値観では恋愛結婚でしかも島の娘であるミホとの結婚は野合ととられている。
    認めてもらえない結婚、そして島尾からもらった病気。
    それらを抱えてやっと結婚にこぎつけたミホはおそらくもう島にいたときの彼女ではなくなっていただろう。
    そして長い修業生活、出産。
    その間に繰り返された島尾の女遊び。
    そこではミホは狂気には走らない。
    (ちなみにこの神戸時代に久坂葉子とのこともちらっとでてきた)

    そして「死の棘」時代になる。
    「死の棘」を読んだ時、
    ここまで苦しんで狂気に陥った妻に対して夫の態度が
    病状を悪化させるだけにしか読めなかった。
    なだめることもあるけれど途中から自分は死んだ方がいいなどと言って
    首をつろうとしたり。
    そこで子どもにまで留めさせたり。
    そこがとてもいやだった。
    夫婦でもめているのはともかく子どもにそこまでさせるなよ、と。

    しかしその疑問がこの評伝で解けるのだ。
    ミホを狂気に走らせたのは日記の文章だった。
    これまでも何度か浮気をしていたけどそのときはそこまでショックではなかったのだから。
    そして、その日記をわざと島尾は見せていたのだ。
    それによって自分の小説を書こうとしていた。
    ミホだけではなく旅行先に行っても触れ合う人々にこれみよがしな日記を見せつけ(ページを開いたまま外出したりしてた)反応をまた、日記につける。
    そのようにして書くことを見つけていた。
    そしてそれを書かねばならないという強迫観念に駆られていたのだ。
    書くことに囚われていたからこそ妻が狂気に陥るのを見ていてしかもそれを助長するような
    行動を取る。
    浮気相手の女性に対しても思わせぶり。
    すべては小説のため。

    夫婦愛の極北と言われている小説だけどこの評伝を読むと
    この小説をその形にしたのはミホ。
    むしろ敏雄のなかでは作家としての業を露わにした小説だったろうと思う。
    敏雄の死後も喪服を着続けるという行為すらも
    この小説を「愛の物語」として完成させるため。
    形を作ったのはミホだった。

    狂うひとー「死の棘」の妻・島尾ミホ

    • 2016.11.26 Saturday
    • 16:35

    JUGEMテーマ:読書



    狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ梯 久美子 新潮社 2016-10-31売り上げランキング : 433Amazonで詳しく見る by G-Tools


    島尾敏雄の『死の棘』に登場する愛人「あいつ」の 正体とは。日記の残骸に読み取れた言葉とは。 ミホの「『死の棘』の妻の場合」が未完成の理由は。そして本当に狂っていたのは妻か夫か──。未発表原稿や日記等の新資料によって不朽の名作の隠された事実を掘り起こし、妻・ミホの切実で痛みに満ちた生涯を辿る、渾身の決定版評伝。


     「死の棘」と「火宅の人」の内容にガッツリ触れています。



    「死の棘」を読んだのはもう何年も前だ。まだ結婚する前だった。
    世評高い私小説の極北。
    夫の情事のため精神を病んだ妻。
    加計呂麻島という南の島で暮らしていた少女(と読めた)と特攻隊の隊長が出会い恋に落ち
    結婚した。
    そして夫は浮気する。
    小説はえんえんとその浮気を追求する妻とその妻に便乗するかのように荒れ狂う夫を描いていた。
    「火宅の人」は高校生くらいで読んで
    こちらもまた作家である夫が浮気をする(ことをおこした、という表現になっていた)。
    同じようなことを描いていて
    発表された時期も二、三年のずれがあるくらい。
    発表形式もそれぞれ短編連作のようになっていて1冊の長編としてのちにまとめられる。
    なのに読後感がまったく違った。
    両方とも子どもがいるけれど
    「死の棘」は夫婦だけのシーンが多く(ときおり荒れ狂う夫を止めようとする描写があるくらい)
    「火宅の人」は子どものシーンも織り込まれている。
    ユーモラスに描かれていてそれがさらに悲しくなるところは似ていた。
    しかし「死の棘」は笑えない。
    ここの子どもたちはどうなるのか
    そして描かれていないところではどうなったのかと思っていた。

    島の巫女のような少女と隊長の恋。
    そこで終わっていれば神話のようだったのに
    少女は妻となり、隊長は夫となった。
    島を去り、本州で暮らして妻は疲弊した。
    その疲弊もまた狂気にプラスされていく、と読んでいた。
    この評伝はそこから覆されていく。
    続きを読む >>

    アンネ、わたしたちは老人になるまで生き延びられた。

    • 2012.11.09 Friday
    • 23:33
    JUGEMテーマ:読書


    アンネ、わたしたちは老人になるまで生き延びられた。
    アンネ、わたしたちは老人になるまで生き延びられた。テオ コステル 直美 桜田

    清流出版 2012-07-28
    売り上げランキング : 431488


    Amazonで詳しく見る
    by G-Tools



    15歳で亡くなったアンネ。80歳になったアンネのクラスメートたちは、あの困難な時代を生き延び、アンネの思い出、自分たちの失われた思春期を、静かに語りはじめた…。



     あの本を何度も読んだ。しかし同級生の存在にこの本で初めて気付かされた。
    そう、アンネには同級生がいた。
    それぞれが過ごした時代。
    そしてそれぞれが抱えた気持。
    答えがずっと出ない質問。
    なぜ老人になれたのか
    なぜあなたはあそこで命を落としたのか。
    生き延び、乗り越えようとしてもなお立ちはだかる気持。
    知らなければ、考えなければ。
    なぜ、わたしたちは生きているのか。

    脳天気にもホドがある。

    • 2012.10.28 Sunday
    • 19:48
    JUGEMテーマ:読書

    脳天気にもホドがある。 ―燃えドラ夫婦のリハビリ日記
    脳天気にもホドがある。 ―燃えドラ夫婦のリハビリ日記大矢博子

    東洋経済新報社 2010-10-22
    売り上げランキング : 76221


    Amazonで詳しく見る
    by G-Tools


    脳出血で倒れ、右半身麻痺と失語症のリハビリと闘う夫との日常を、愛情たっぷりに描く痛快エッセイ。自分が倒れないための本音の介護情報が満載。「リハビリより鉄道、介護よりドラゴンズ」という脳天気な夫婦の、発病から1年間のお笑いリハビリ日記。

     
     笑って読んでるんだけどとても大事なことと素敵なことをお話ししてもらった気分。
    専門的な難しいことではなく実際に接している人間としての素直な気持、

    つまらない人生入門

    • 2012.08.26 Sunday
    • 15:29
    JUGEMテーマ:読書


    つまらない人生入門 (鬱屈大全)
    つまらない人生入門 (鬱屈大全)春日 武彦 吉野 朔実

    アスペクト 2011-03-24
    売り上げランキング : 106156


    Amazonで詳しく見る
    by G-Tools

    「つまらない人生」を楽しむための必読書!「孤独感」「罪悪感」「無力感」……。ネガティブゆえに愛おしい人間の業を、しみじみと描き出す、春日武彦氏のエッセイ+吉野朔実氏の傑作漫画!


     おそらくこの本を読もうと思う人は「つまらない人生」ではないと思う(笑)。
    そういう人は春日先生のエッセイを読もうとは思わない。
    しかもこれ、けっこう読むとむむと考えちゃうところが多いし。
    そのあたりが鬱屈大全なんでしょうけど。
    あとがき対談がよかった。
    この二人のキャッチボールは気持ちがいい。

    ネグレクト 育児放棄ー真奈ちゃんはなぜ死んだか

    • 2012.08.23 Thursday
    • 15:21
    JUGEMテーマ:読書

    ネグレクト―育児放棄 真奈ちゃんはなぜ死んだか (小学館文庫)
    ネグレクト―育児放棄 真奈ちゃんはなぜ死んだか (小学館文庫)杉山 春

    小学館 2007-08
    売り上げランキング : 14242


    Amazonで詳しく見る
    by G-Tools


    ネグレクト(neglect)育児放棄。子供に食事を満足に与えなかったり、病気やけがを放置したり、長期間入浴させないなど保護者としての責任を放棄する行為。二〇〇〇年十二月一〇日、愛知県名古屋市近郊のベッドタウンで、三歳になったばかりの女の子が段ボールの中に入れられたまま、ほとんど食事も与えられずにミイラのような状態で亡くなった。両親はともに二一歳の夫婦だった。なぜ両親は女の子を死に至らしめたのか、女の子はなぜ救い出されなかったのか。三年半を超える取材を通じてその深層に迫った事件ルポルタージュ。第十一回小学館ノンフィクション大賞受賞作。


     ダンボールのなかで、というのが非常に心に残っていた事件のルポ。
     誰しもが気にかけ、働きかけてもいたのに救えなかった命。
     無知であるということ。
    目の前のことから逃げてしまう思考停止状態の怖さ。
    逃れられない連鎖と言う言葉で終わらせてはいけないのだけど…。
    こういう話を見ると
    食事のことも考えられない状態でも妊娠するという身体の健康さがある意味恐ろしい。
    自分の周りには体に気を使っても子宝に恵まれない人が何人もいただけに。

    文学賞メッタ斬り! ファイナル

    • 2012.08.09 Thursday
    • 21:31
    JUGEMテーマ:読書

    文学賞メッタ斬り! ファイナル
    文学賞メッタ斬り! ファイナル大森 望 豊崎 由美

    パルコ 2012-08-01
    売り上げランキング : 385630


    Amazonで詳しく見る
    by G-Tools


    文学賞をエンタテインメントに仕立て上げた「文学賞メッタ斬り! 」がついにファイナル!

    長らく(一方的に)ライバル関係にあった芥川賞選考委員、石原慎太郎の辞任をうけての「さらば、石原慎太郎! 」。
    直木賞受賞作家・道尾秀介、芥川賞受賞作家・円城塔との「受賞直後鼎談」。
    批評家・東浩紀、佐々木敦との座談会「文学賞対策委員会」など、内容てんこ盛りです。

     
     ついにファイナル。
    このシリーズがあったから純文学も面白いのだと思えたし
    普段は手に取らない本にも興味が持てるようになった。

    PR

    calendar

    S M T W T F S
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    28293031   
    << October 2018 >>

    selected entries

    categories

    archives

    recent comment

    recent trackback

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM