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    狂うひとー「死の棘」の妻・島尾ミホ 2

    • 2016.12.03 Saturday
    • 23:28

    JUGEMテーマ:読書


    狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ
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    終戦後、島を出て結婚しようとした二人だったが
    仕事をしないで両親に頼る気しかない島尾は結婚を認めてもらえない。
    当時の価値観では恋愛結婚でしかも島の娘であるミホとの結婚は野合ととられている。
    認めてもらえない結婚、そして島尾からもらった病気。
    それらを抱えてやっと結婚にこぎつけたミホはおそらくもう島にいたときの彼女ではなくなっていただろう。
    そして長い修業生活、出産。
    その間に繰り返された島尾の女遊び。
    そこではミホは狂気には走らない。
    (ちなみにこの神戸時代に久坂葉子とのこともちらっとでてきた)

    そして「死の棘」時代になる。
    「死の棘」を読んだ時、
    ここまで苦しんで狂気に陥った妻に対して夫の態度が
    病状を悪化させるだけにしか読めなかった。
    なだめることもあるけれど途中から自分は死んだ方がいいなどと言って
    首をつろうとしたり。
    そこで子どもにまで留めさせたり。
    そこがとてもいやだった。
    夫婦でもめているのはともかく子どもにそこまでさせるなよ、と。

    しかしその疑問がこの評伝で解けるのだ。
    ミホを狂気に走らせたのは日記の文章だった。
    これまでも何度か浮気をしていたけどそのときはそこまでショックではなかったのだから。
    そして、その日記をわざと島尾は見せていたのだ。
    それによって自分の小説を書こうとしていた。
    ミホだけではなく旅行先に行っても触れ合う人々にこれみよがしな日記を見せつけ(ページを開いたまま外出したりしてた)反応をまた、日記につける。
    そのようにして書くことを見つけていた。
    そしてそれを書かねばならないという強迫観念に駆られていたのだ。
    書くことに囚われていたからこそ妻が狂気に陥るのを見ていてしかもそれを助長するような
    行動を取る。
    浮気相手の女性に対しても思わせぶり。
    すべては小説のため。

    夫婦愛の極北と言われている小説だけどこの評伝を読むと
    この小説をその形にしたのはミホ。
    むしろ敏雄のなかでは作家としての業を露わにした小説だったろうと思う。
    敏雄の死後も喪服を着続けるという行為すらも
    この小説を「愛の物語」として完成させるため。
    形を作ったのはミホだった。

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