今年印象に残った本

  • 2018.12.31 Monday
  • 19:51

JUGEMテーマ:読書




 実際にあった事件をもとに書かれた小説。小説としてなしえるためにある程度の戯画化はあるだろうけど
凄まじいまでのリアリティを感じさせる。読んでいるあいだ、ずっと苦しくて読み進めても「絶対」に清々しくなることはないとわかっているのに読ませる力。それは姫野さんの怒りだったと思う。
怒りが伝わってきた。


 杉村シリーズ。
このシリーズ、とても静かに始まったのに終盤にかけての絶望感やもやもや感の激しさといったら。
杉村vs困った女たちというものの最初の収録作から人の尊厳を踏みにじる人間たちが跳梁跋扈するという凄まじさ。たまたままえの「彼女は頭が悪いから」があったためにこれはあれだ!とわかったのにそうならないでほしいと祈るような気持ちで読み続けた。
でも宮部みゆきは容赦なく、人を叩き落とす。

 小説ではなく、ノンフィクションから。
おそらく大抵の人が報道を覚えているであろう事件。
被害者の当時は離れて暮らしていた(離婚のため)父と加害者側の情報で描かれる事件。
家にいることができなくなった子がどうしていくか。
家庭の役割とはなにかなど考える部分が多く辛い事件だった。

 であったときは女子高生。その二人の書簡体小説。
今読むと懐かしい感じすらする書簡体。いまだとメール、ラインの短いやり取りになるであろうことが
言葉を尽くして文章で綴られる。
日常も非日常も。
であったことが運命の二人だった。離れても離れていられない心。
手紙でだけ語られることで言葉や文章の持つ力をダイレクトに感じる小説だった。

 原民喜を意識したのは山田風太郎の「人間臨終図鑑」。原爆を書いた人であり、極度の人見知りで原稿編集者に対しても一人で相対することができないくらいという部分が印象的だった。
その後梯久美子の「愛の顛末」で夫婦としてのあり方を知り、また死にむかうときにそばにいた人のことを知って
まとめて一生を読んでみたいと思っていた。
勁さと弱さと誠実さが感じられる本。
晩年そばにいた遠藤周作、一人の女性との友情が清々しい。

 前作「デフ・ヴォイス」ですっかりお気に入りになってしまった手話通訳士のシリーズ。
これもまたミステリーとしての謎とテーマ性がしっかりと結びついて声高に主張されるのではなく
静かに流れている聴覚障害者への温かい目線と生活することが染み通ってくる。
大好きな一冊。

 ブラック「ジェーン・エア」。
ある意味悪女ものなのだろうか?事あるごとにジェーン・エアとの対比があってそっちも好きだからこっちも好きになってしまうという感じ。
後半がロマンス小説になるものもまた、親本といっていいだろう「ジェーン・エア」に準じている。

 続けて悪女もの。
ハイスミス「見知らぬ乗客」ばりに「あれ」でいくのか…と思いきやばっさりと変わるその驚き。
構成が見事で人物造形もまた。ラストも某作品を彷彿とさせる。

 昨年も「制裁」が印象に残った作者。これもまた辛い辛いひどいひどいの作品で。読むとどん、と落ち込む。
社会問題の重さ。

 好きだった旧作が復刊されたので。
大変良くできているし裁判の仕組みがわかりやすい。テーマと手法の結びつき。

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  • 2019.01.01 Tuesday
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